パパ薬剤師の備忘録

あくまで自己学習の備忘録です。参考程度に見て頂ければと思います。内容については保証できませんのでご了承ください。

めにゅ~

大腸がん<薬物療法編>

さて、大腸がん薬物療法編です。

 治療選択

  • 大腸壁の浸潤の深さ(深達度)が粘膜(M)と粘膜下層(SM)にとどまるものを早期がん、粘膜下層より深く浸潤するものを進行がんという。
  • 手術適応の場合は腸切除のみならず、リンパ節郭清も行う、ステージで郭清範囲は異なってくる。

※がん切除レベル
R0切除:手術にて肉眼のみならず、顕微鏡確認でも完全に腫瘍が切除された完全切除

R1切除:肉眼では完全に切除したが、顕微鏡確認で腫瘍が取りきれてなかった状態

R2切除:肉眼的に明らかに腫瘍が取り切れていない状態

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大腸がんステージ分類による治療ストラテジー

術後化学療法

  • R0切除された症例に、再発を抑制し予後を改善する目的で実施される。
  • ガイドライン上の適応はStageⅢ大腸がんだが、再発リスクが高いと判断されるStageⅡ大腸がんにも実施が考慮される。
  • 遠隔転移巣切除後の補助化学療法は、GL上ではエビデンスが乏しいものの行うことを弱く推奨している。
  • 推奨レジメンはmFOLFOX6もしくはCAPOXであるが、オキサリプラチン使用が適切でない場合、5-FU+l-LV療法UFT+l-LV療法Capecitabine単独療法などフッ化ピリミジン系単独療法も選択しとなっている。
  • いずれも投与期間は6か月が原則であるが、3カ月(vs6か月)でも非劣勢が示されており、オキサリプラチンの神経毒性軽減の有意性も示されている。再発低リスク群には検討可能である。術後4-8週間以内に開始する。
  • 分子標的薬であるBV(Becacizumab)の上乗せ検証およびCetuximabの上乗せ検証をした試験のいずれにおいても有用性は認められず。
  • 大腸がんの根治手術後のフォローアップは5年を目安とし、初めの3年間は3カ月ごと、残り2年は半年ごとのフォローアップ(問診、身体所見、腫瘍マーカー測定)が推奨される。

切除不能進行・再発大腸がんに対する化学療法

★一次治療

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  • (fit)患者とは、全身状態が良好で、かつ腫瘍臓器機能が保たれ、重篤な合併症もなく、一次治療のL-OHP、CPT-11や分子標的薬の併用や療法に対する忍容性に問題がない患者をいう。一方で、(vulnerable)患者とは、全身状態や腫瘍臓器等に問題があり、上記薬剤に対し忍容性がない患者をいう。(frail)患者は薬物療法に適応がない患者をいう。
  • 一次治療は基本的に、L-OHPもしくはCPT-11のいずれか1剤フッ化ピリミジン系を組み合わせた2剤(doublet)を軸に、そこに分子標的薬である血管新生阻害薬抗EGFR抗体薬を組み合わせる療法が標準となっている。
  • FOLFOX療法とFOLFIRI療法はどちらが先行しても効果は同等(奏効率、PFS、OSにおいて)と得られている。
  • 抗EGFR抗体薬の効果予測因子として、RAS遺伝子やBRAF遺伝子の変異があり、負の因子として知られている。また、最近では原発部位も注目されており、左側結腸原発(下行結腸~直腸)ではBVよりも抗EGFR抗体薬の方が効果が高く、右側結腸原発(盲腸~横行結腸)ではBVよりも抗EGFR抗体薬の方が効果が乏しいことが分かっている。このことから、左側原発の場合は積極的に抗EGFR抗体薬を使用し、右側原発の場合はBVを使用していく。

★二次、三次治療

f:id:papayaku:20200526005940p:plain細胞傷害性抗がん薬

  • 進行大腸がんにおいて、key drug3剤(フルオロピリミジン、イリノテカン、オキサリプラチン)をどこかで使用した症例はOSが有意に延長することが報告されている。
  • FOLFOX、FOLFIRIどちらを先行させても二次治療まで行えば成績は変わらないことが示されている。(一次二次でCPT-11ベースとL-OHPベースを入れ替える)。

併用する分子標的薬
血管新生阻害薬(BEV、RAM、AFL)、抗EGFR抗体(Cmab、Pmab)がある。

血管新生阻害薬

  • 一次治療でL-OHP不応不耐例を対象としたプラセボとの試験で、FOLFIRI+RAM(RAISE試験)、FOLFIRI+AFL(VELOUR試験)のOSの優越性が証明されている。以上より、二次治療でFOLFIRIで併用できる。3種類の使い分けに有用なマーカーなどは確立されていない。
  • 一次治療でのBV併用レジメンが不応になった場合に二次治療でもBVを継続することでOSが延長することが示されており、増悪後のBV継続使用(bevacizumab beyond progression;BBP)が行われる。

抗EGFR抗体薬

  • RAS遺伝子野生型症例には、一次治療で抗EGFR抗体薬を使用してない場合、二次治療または三次治療で使用することが推奨される。
  • RAS遺伝子野生型症例に対する三次治療において、抗EGFR抗体薬単剤とBSC(best supportive care)の比較試験の結果から、抗EGFR単独の方が有意にPFS、OSを改善することが示されている。

★後方治療

Regorafenib(REG)、FTD/TPI(TAS-102)

  • 上記治療で不応または不耐の症例に対し、REGおよびFTD/TPIはOSおよびPFSを有意に延長することが証明されている。順番に関するデータはなく、毒性を考慮しながら個々の症例で使い分ける。

 

★レジメン選択のまとめ

一次治療はL-OHPまたはCPT-11のいずれかとフルオロピリミジン系を組み合わせたdoubletを軸とし、そこに患者背景に合わせて分子標的薬を組み合わせる。RAS遺伝子野生型で左側原発症例では抗EGFR抗体薬、RAS遺伝子野生型で右側原発症例では血管新生阻害薬を選択する。またRAS遺伝子変異型は原発部位に関わらずBEVが選択される。BRAF遺伝子変異の場合は、topiplet(FOLFOXIRI)+BEVが推奨される。

二次治療は、一次治療で使用してないL-OHPまたはCPT-11のいずれかとフルオロピリミジン系を組み合わせたdobletを軸とし、分子標的薬を組み合わせる、

三次治療以降は、経口薬であるREGもしくはFTD/TPIが選択肢となる。RAS遺伝子野生型では1,2次治療で抗EGFR抗体薬を使用してない場合はREG、FTD/TPIの前に抗EGFR抗体薬を使用することが推奨されている。

 

レジメンは次回。


薬局で役立つ経口抗がん薬はじめの一歩

 

肝がん<基礎編>

 基礎知識

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肝臓の血流
  • 肝臓は、腹部右上に位置しほぼ右肋骨下に収まる人体で最も大きい臓器である。
  • 成人男子で体重の50分の1程度(約1~1.5kg)ある。
  • 胆汁生産・分泌 ②代謝・栄養素貯蓄 ③解毒 を行う臓器である。
  • 1/2切除されても再生し、元に戻ることができる。また、正常な幹細胞が1/4以上残存していれば、肝機能を余分に維持できる。
  • 上記のように再生機能・代謝能が高く、障害を受けても痛みを感じないため、末期になるまで異常に気付かないこともしばしばある(=沈黙の臓器)。

 

疫学

  • 死亡数(2016年)/罹患率(2013年) 28,528人/40,938人
  • 肝および肝内胆管がんをまとめて肝がんを呼ぶ(9割が肝細胞がん)。ただし、内科的治療は肝内胆管がは肝外胆管がん(胆道がん)と同様の治療を行う。
  • 罹患数と死亡数に大きな差がないことから、生存率が低いことがわかる。
  • 男性では45歳以降、女性では55歳以降に増加傾向がみられる。
  • 発生に最も重要なのは、肝炎ウイルス(HBV,HCV)で持続感染による慢性肝障害と再生に伴う突然変異の長期間の集積が影響していると考えられている。肝がんのうち約20%がHBV、約80%がHCVに起因している。
  • 感染以外での危険因子は、NAFLD/NASH、多量飲酒、喫煙、生活習慣病(肥満、糖尿病)、男性が挙げられる。
    NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease;非アルコール性脂肪性肝疾患
    NASH:non-alcoholic steato-hepatitis;非アルコール性脂肪肝炎

診断・診察

  • 肝細胞がんは高危険群の判別が容易であり、日本では広くサーベイランス(surveillance;調査・監視)が行われている。
  • B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、肝硬変のいずれかが存在すれば高危険群、なかでもB型肝硬変、C型肝硬変は超高危険群である。

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腹部超音波検査
 腹部に超音波を発信し、その反射(エコー)で画像化・解析する検査。

腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-2、AFP-L3分画)
 肝細胞腫瘍マーカーとして保険適応となっているのは、AFP(アルファフェトプロテイン)、PIVKA-2(protein induced by Vitamine K absence or antagonist-2)AFP-L3分画(AFPレクチン分画)である。

 AFPは健康成人の血液には含まれず、原発肝がんの患者の95%の血液に含まれる。基準値は20ng/ml以下(RIA法)とされている。もともとは妊娠早期の胎児にみられる血清蛋白の一種である。
PIVKA-2はビタミンKが欠乏した血液に出現する異常な血液凝固因子である。肝臓に異常が生じることで正常な血液凝固因子が産生できず、PIVKA-2を多く産生する。基準値は40mAU/ml以下(ELA法)で、腫瘍サイズが大きいほど(=異常が大きいため)陽性率も高まる。
 AFP-L3分画はAFPのがん化に伴う糖鎖の変化をレクチンとの結合を利用して検出するAFPの生物学的悪性度を示す。基準値は10%以下で、AFP20ng/ml以上でAFP-L3分画が15%以上の場合、肝細胞がんの存在の可能性が高い。

dynamic CT/MRI

 

分類

 UICC-TMN分類(腫瘍進行度)

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 Chilid-Pugh分類(肝予備能)

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おすすめ参考書

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薬局で役立つ経口抗がん薬はじめの一歩

 

 

大腸がん<基礎編>

 基礎知識

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  • 大腸は、食物の消化および吸収を行う消化器官で、小腸(回腸)側から、盲腸上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸、直腸S状部、直腸(上部、下部)、肛門へと続く。
  • 大腸がんは、大きく「結腸がん」と「直腸がん」に分けられる。
  • 部位別の発生頻度は、「直腸がん」と「S状結腸がん」が多く、この二つで全体の半分以上を占める。
  • 組織型はほとんどが「腺がん」である。ただし肛門付近で発生するがん(肛門管がん)は扁平上皮がんが多くなる。
  • 右側のがん(横行結腸がん、上行結腸がん、盲腸がん)は通過障害を起こしにくく、便の性状変化に気付きにくい。
    →がん増大まで症候が出にくい。腹部腫瘤(しこり)、貧血など。
  • 左側のがん(下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がん)は通過障害を起こしやすく、便の性状に変化に気づきやすい。
    →比較的初期から症候が出やすい。下血、血便、便柱狭小化、便秘・下痢など。

「疫学」「原因・誘因」「症状・所見」

  • 好発:50~70代、60代がピーク。
  • 罹患率(2014年) 
    男女計135,434人 男:77,504人 女:57,930人。
    結腸89,629人 直腸45,805人。男性では胃、肺に次ぐ3位、女性では乳がんについで2位。
  • 死亡数(2017年) 
    男女計50,681人 男:27,334人 女23,347人。
    結腸35,349人 直腸15,332人。肺がんに次ぐ2位。
  • 発症の危険因子として、大腸腺腫、肥満、炎症性疾患、家族歴(家族性大腸腺腫FAPやLynch症候群を含む)が知られており、飲酒や喫煙もリスク上昇が示唆されている。
  • 大腸関連遺伝子として、がん遺伝子のRAS、がん抑制遺伝子のAPC、P53がある。

診察・診断

  • 早期発見による治癒率が高く、便潜血を中心とした大腸がん検査を受けることが死亡率を低下させることが欧米でのRCTで示されている(Minnesota試験)。
  • 日本では、抗ヒトヘモグロビン抗体による便潜血2日法(免疫法)が主流で、要検査者は全大腸内視鏡検査やS状結腸内視鏡検査と注腸検査の併用が進められる。ただし、日本では検診受診率が25%と欧米に比べ、非常に低いことが今後の問題となっている。

画像診断

<原発診断>

大腸内視鏡検査
大腸内部をモニターで写し観察する。粘膜表面の病変まで発見でき、病理検査のための病変の一部を採取できる。

注腸造影検査
腸の形状やがんの有無を検査できるが、大腸内視鏡のように組織検査はできない。

 <転移診断>

胸部X線
肺転移の確認

胸腹骨盤部CT
遠隔転移や骨盤内の収蔵kへの浸潤等の確認を行うため実施される。その他必要に応じて、MRIや超音波内視鏡検査、PET検査を追加する。

検体検査

腫瘍マーカー
スクリーニングには推奨されないが、術後患者における再発発見や化学療法の治療効果判定の一助にはなる。(CEA、CA19-9

遺伝子検査
 家族性大腸腺腫症はAPC遺伝子の、Lynch症候群はDNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子の生殖細胞系変異を原因とする常染色体優性遺伝子疾患と考えられている。
 Lynch症候群は一般の大腸がんに比べて若年発症、多発性、右側結腸に好発し低分化腺癌の頻度が高い、腫瘍内リンパ球浸潤がみられるなどの組織学的特徴がある。Lynch症候群の腫瘍組織では高頻度にマイクロサテライト不安定性(MSI-High)を認めることが多く、MSI検査もしくはMMR蛋白の免疫染色検査が2次スクリーニングとして使用される。また、MSIはStageⅡ結腸がんの予後因子および5-FUによる術後化学療法の効果予測因子として、さらに最近では免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子としても注目される。

 EGFR(上皮成長因子受容体)の下流シグナル経路にRAS(KRAS,NRAS)遺伝子BRAF遺伝子が存在する。KRAS exon2,3,4またがNRAS exon2,3,4のいずれかで遺伝子変異がある場合は抗EGFR抗体薬の有効性が認められない。そのため、事前にRAS遺伝子検査は必須である。また、5~10%と低い確率だが、BRAF遺伝子(V600E)に変異がある場合は予後不良であることが分かっている。RASとBRAF遺伝子の変異は排他的で同時には存在しないことが分かっている。

 UGT1A1は肝臓のグルクロン酸酵素の1つで、CPT-11(イリノテカン)の活性体SN-38の代謝酵素である。UGT1A1*6/*28は遺伝子多型で、両者の複合ヘテロ、どちらかのホモ接合の場合にGrade3以上の好中球減少が高頻度で認められる。

TMN分類・病期分類

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T-壁深達度

T0 がんを認めない

Tis 上皮粘膜内または粘膜固有層(M:mucosa)に浸潤

T1 粘膜下層(SM:submocosa)に浸潤

T2 固有筋層(MP:proper muscle)に浸潤

T3 漿膜下層、または漿膜被覆のない結腸or直腸の周囲組織に浸潤(漿膜内に収まる)

T4a 臓側腹膜の表面を貫通する(漿膜表面に露出)

T4b 他の臓器または組織に直接浸潤もしくは付着する

N-リンパ節転移

N0 リンパ節転移が認められない

N1 1~3個の所属リンパ節転移

N2a 4~6個の所属リンパ節転移

N2b 7個以上の所属リンパ節転移

M-遠隔転移

M0 遠隔転移なし

M1a 1臓器に限局する転移

M2b 2臓器以上、または腹膜転移

 

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参考書:がん診療レジデントマニュアル

 

 

 

胃がん<治療編①>

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ステージ分類

胃がんの治療は、手術可能な場合(StageⅠ、Ⅱ、Ⅲ)は手術を行い、できない場合は化学療法が選択される。術後StageⅠの場合、何も行わず経過観察を行う。StageⅡ、Ⅲ(pT1およびpT3(SS)N0を除く)は術後補助化学療法がおこなわれる。また、術後StageⅣの場合は化学療法または対症療法が選択となる。

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治療選択フロー

 内視鏡治療

 内視鏡を口から胃にいれ、内視鏡の先についたワイヤーや電気メスでがんを切除し、そのまま掴んで口から取り出す方法。主に、分化型がんに対して行われる。

①EMR (endoscopic mucosal reseection)

 胃の粘膜病変を挙上して鋼線のスネアをかけ、高周波により焼灼切除する方法

②ESD (endoscopicsubmucosal dissection)
 高周波ナイフを用いて、病巣周囲の粘膜を切開し、さらに粘膜下層を剥離して切除する方法。

 

手術療法

 主にステージⅠ~Ⅲの胃がんに対して行う。全切除と部分切除がある。また、腹壁を切開して行う開腹手術と腹腔鏡を使用した腹腔鏡下手術がある。胃がん手術は、がん部位を取り除く「胃切除」と、がんが転移しやすいリンパ節を取り除く「リンパ節郭清」をセットで行うことが基本である。

  • 治癒手術
    ①定型手術・・・胃の2/3以上の切除とD2リンパ節郭清を行う。
    ②非定型手術・・・①に満たない切除範囲やリンパ節郭清のもの。
    ③拡大手術・・・他臓器合併切除を加えたり、D2を超えるリンパ節郭清を行う手術。
  • 非治癒手術
    ①緩和手術(姑息手術)・・・治癒手術不能における出血や狭窄等の切迫症状を改善するための手術。ステージⅣ症例に対しての
                  選択肢の1つ。
    ②減量手術・・・腫瘍量を減らし、症状出現や脂肪までの時間を延長するための手術。明確なエビデンスはない。

 

化学療法

  術前術後の補助化学療法と、切除不能な進行・再発胃がんに対する化学療法があり、胃がんにおけるキードラッグは、フッカピリミジン系抗がん薬(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、カペシタビン)、白金製剤、タキサン系抗がん薬、イリノテカン(CPT-11)、トラツズマブ、ラムシルマブ、ニボルマブがある。

術前補助化学療法

 大規模試験から明らかな延命効果は認められず、ガイドラインでは推奨されていない。ただし、今後有用な治療戦略になる可能性はあり、根治切除不能もしくは境界例で化学療法により根治手術可能になる、いわゆるconversion therapy(=抗がん薬による腫瘍縮小で手術適応になること)が胃がんにおいても考慮されつつある。

 

術後補助化学療法

 術後に体内に残っているかもしれない微小転移を根絶させ再発防止(根治)を目的に行われる
 我が国での標準治療であるD2胃切除後のStageⅡ/Ⅲ症例に対して有効性が示されたのは、術後S-1単剤療法(ACTS-GS試験)、術後CapeOX療法(CLASSIC試験)である。

〇S1単独療法
 術後6週間以内に開始し、4週投与2週休薬を1コースとし、8コース(1年間)継続する。

〇CapeOX療法
 術後6週間以内に開始し、3週間を1コースとし、8コース(半年)継続する。

 

 両者を直接比較した試験はなく、個々の患者状態を鑑みて、リスクベネフィットを検討したうえで選択する。
 一般的に、StageⅡ症例では、S-1単独療法の結果が良好であることから、S-1単独療法が優先されることが多い。
 また、StageⅢ症例において、S-1単独とS-1+DTX併用群を比較したJACCRO GC-07/STARt-2試験の中間解析で後者が無再発生存期間が優位に良好であったことから、今後はStageⅢ症例に対する有力な選択肢になる可能性が高い。

 

手術不能な進行・再発胃がんに対する化学療法

 使用できる薬物は、フルオロウラシル(5-FU)、レボホリナート(LV)、S-1、カペシタビン(Cape)、シスプラチン(CDDP)、オキサリプラチン(OHP)、イリノテカン、ドセタキセル(DTX)、パクリタキセル(PTX)、ナブパクリタキセル(nabPTX)、トラツズマブ(T-mab)、ラムシルマブ、ニボルマブなどがある。これらを組み合わせたレジメンで治療を行う。

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切除不能進行・再発胃がん 化学療法フロー





 

 

次でレジメン例まとめようかな。

 

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胃がん<基礎編>

 

基礎知識

  • 胃は食道と小腸の間に位置する袋状の臓器である。

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  • 胃の壁は内側から順に、胃液などを分泌する粘膜(M)、粘膜を支える粘膜筋板(MM)、粘膜と固有筋層をつなぐ粘膜下層(SM)、胃の動きを担当する固有筋層(MP)、胃全体を包む薄い膜である漿膜等に分類される。

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  • 胃がんは、胃壁のどのくらいの深さまで入り込んでいるか(深達度)で、粘膜または粘膜下層にとどまる早期胃がんと固有筋層より深くに及ぶ進行胃がんに分類される。
  • ほかに、リンパ節転移や他臓器への転移の程度により、病期(ステージ)と治療方針が決定される。

 

疫学

  • 2014年の罹患率は、男性で89,094人(1位)、女性で40,145人(3位)で男女計で全体の2位である。
  • 2017年の死亡数は、男性29,745人(2位)、女性15,481人(4位)で男女計3位である。年齢調整死亡率は男女ともに減少傾向である。
  • 胃がんの罹患率は東アジア(日本含む)で高く、米国白人は低い。日本は東アジアの中でも高率地域である。
  • 発症危険因子は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)菌感染高塩分食喫煙飲酒等が挙げげられる。予防的因子としては野菜・果物の摂取が挙げげられる。
  • 胃がんの5年生存率は、初期ステージであるほど高く、早期診断・治療が重要であることがわかる。また、近年は特に進行がんの生存率も治療の進歩で上昇している。

 

診察・診断

主な症状としては、上腹部痛、食欲不振、嘔気・嘔吐、体重減少、貧血などが挙げられるが、特異的な症状ではなく、胃がんの診断・治療決定までには以下のような検査を行う必要がある。

 

  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
     胃カメラを口や鼻から入れて、胃の中を直接確認する検査。原発巣の検査として行われ、生検による組織学的診断に必須となる。診断法による感度(がんであると正しく診断できる精度)は85~97%である。
  • 胃X線検査(バリウム検査)
     バリウムを飲み、レントゲンで胃の形や胃壁の進展度などを確認する検査。原発巣の検査として行われ、粘膜面に病病変が露出しにくいスキルス胃がんの診断や、切除範囲の決定に重要な検査である。感度は約70~80%、特異度(癌ではないと診断する精度)は90%である。
  • ペプシノゲン検査
     血液検査から胃粘膜の萎縮度を調べる。胃がんを直接発見する検査ではないが、一部胃がんは粘膜萎縮から発生することがあるので、この検査きっかけで見つかることもある。感度は55%くらいだが、陽性であれば、検診を受けることが望ましい。
  • ヘリコバクター・ピロリ抗体検査
     血液検査等でヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているまたは感染したことがあるかを調べる。胃がんの発生リスクではあるが、感染すれば必ず胃がんが発生するわけではないので、胃カメラやバリウム検査が必要となる。
  • 超音波内視鏡検査
     がんの深達度やリンパ節転移の有無などについて詳しく診断することが可能である。通常の内視鏡検査では難しいと判断される場合使用される。
  • CT検査
     X線を使用し、体の内部を輪切りのように書き出し撮影する検査。ステージ診断に有用である。
  • PET/CT検査
    放射性ブドウ糖液を注射し、その取り込み分布を撮影し、全身のがん細胞を検出する検査。ほかの検査で転移・再発が確定できない場合に行うことがある。
  • 注腸検査
     大腸からバリウムを注入し、X線写真を撮る検査。大腸へのがんの広がりがないか、腹膜播種がないか等を調べる。
  • 検体検査

     CEACA19-9は病勢検査に頻用されているが、診断には適さない。手術後の再発チェックや薬物療法の効果判定の「参考」に使用される。

     約20%の症例にHER2蛋白陽性を認めるので、抗HER2薬の使用の可否を確認するために、HER2検査が行われる。一次化学療法前にHER2検査を行うことが強く推奨される

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    胃がんHER2診断フロー

Stage分類

 混乱を避けるために、進行度の接頭語にはc(clinical:臨床的), p(pathological:病理学的)を付ける。術前療法がおこなわれた場合の臨床進行度と病理進行度は「yc」,「yp」と付記する。つまり、術前療法後に切除された場合、cTMN,ycTMN,ypTMNを記録することになる。術前療法がなく切除された場合はcTMN,pTMNのみの記録となる。

 

 

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 これは次回作(分作)が楽しみ。毎日少しずつやったけど絵もきれいでサクサク進んで面白かった。

潰瘍性大腸炎( Ulcerative colitis:UC)

さて、今回は潰瘍性大腸炎についてです。

発症時期年齢ピークも自分の年齢に近く若いので身近な疾患に感じます。

 潰瘍性大腸炎とは

腸に炎症が起こる病気を「炎症性腸疾患」という。この中に、大腸に炎症が起きる「潰瘍性大腸炎」と小腸や大腸などあらゆる消化管に炎症が起こる「クローン病」がある。

 

特徴

  • 国が定めた「指定難病」の1つ
  • 発症原因は不明だが免疫異常が関係していると考えられている。
  • 現在、日本に18万人ほどの患者さんがいる。
  • 発症ピークは男性20-24歳、女性25-29歳といわれている。
  • 重症患者さんは少なく、軽症~中等度が9割を占める。

症状

大腸粘膜に炎症が起き、粘膜がただれると以下のような症状が起きる。

  • 下痢・血便(代表的症状)
  • 発熱
  • 腹痛
  • 体重減少

経過

炎症が起きて症状が強く現れる「活動期」と、症状が治まっている「寛解」がある。治療をきちんと継続していれば、多くの人は寛解を維持できるが、服薬状況が悪くなったりすると再燃して活動期と寛解期を繰り返すこともある。

炎症の広がり

腸のどの場所で炎症が起きているかで3タイプに分かれる。

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  • 腸炎・・・21.7%
  • 左側大腸炎・・・37.4%
  • 全大腸炎・・・37.9%

検査

  • 問診
    ➡下痢の回数、便の性状、血便の頻度・程度、腹痛回数、発熱などがいつから始まったか確認する
  • 便潜血検査
    ➡便に血液が混じっていないかを調べる検査
  • 血液検査
    ➡貧血や炎症の有無、栄養状態を調べる。
    炎症・・・WBCCRP、赤沈などの項目
    ※赤沈:赤血球沈降速度(blood sedimentation)のこと。赤血球が試験管内で沈んでいく速度のこと。ESR(erythrocyte sedimentation rate)ともいう。赤血球は府に帯電しているので、グロブリンフィブリノゲンなどの正に帯電するものが多いと、赤血球は正帯電の者を介して結合・凝集しやすくなり、沈降速度が亢進する。また貧血では赤血球数が少なくなるので沈降は亢進する。逆に、負に帯電する胆汁酸やアルブミンが多いと反発して沈降速度は遅くなる。
    亢進:炎症、感染症心筋梗塞などの細胞破壊、貧血、膠原病、悪性腫瘍等
    遅延:DIC(播種性血管内凝固症候群)、赤血球増加症、低フィブリノゲン症候群
    貧血・出血・・・Hb等の項目
    栄養状態・・・総蛋白、アルブミン等の項目 
  • 大腸内視鏡検査
    診断に欠かせない検査、診断後も定期的に実施が必要とされる。
    肛門から大腸内視鏡を挿入し、炎症の範囲、進行度を調べる。
    検査は15~30分程度で終了するが、場合によっては、粘膜の一部を採取し、顕微鏡にて詳しく調べる場合もある。

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  • 腹部X線検査(レントゲン検査)
    腸内のガスの貯留状態を調べるための検査。

治療

原則的には炎症をコントロールする「薬物療法」が中心。お薬で寛解期は可能。

  • 薬物療法
    完治できる薬はないが、大腸粘膜の炎症は抑えることができる。治療については、活動期と寛解期で2つに分けられる。
    寛解導入療法
    ➡活動期の炎症を抑え、寛解に持ち込む治療
    寛解維持療法
    寛解を長期にわたって維持し、再燃を防ぐ治療

    用いられる薬剤を簡単に説明します。

    ★5-ASA(5-アミノサリチル酸=メサラジン)製剤
    :サラゾスルファピリジン(サラゾピジン
    :メサラジン製剤(ペンタサ・アサコール・リアルダ)

     サラゾスルファピリジンは大腸で、メサラジンとスルファピリジンに変換され、効果を示すのはメサラジンである。ペンタサは時間依存性薬剤で腸で溶解するよう設計されている。小腸から大腸にかけて放出されるアサコールはpH依存性薬剤でアルカリ性で溶出する設計のため、大腸で大量に放出される
     軽症~中等症の治療の中心となる基本的治療薬寛解導入、寛解維持のどちらにも使用される。内服は直腸・S字結腸と後半にあたる部分への効果が届きにくいことがあり、座薬や注腸などの局所製剤をうまく利用することが重要である。内服・坐剤と種類があるので選択しやすい。
     副作用として、allergy反応が出現することがある。服用開始後に発熱を伴う下痢を発症した場合はその可能性があるので主治医に相談が必要である。また、サラゾピジン特有の副作用として、スルファピリジンによる発熱、頭痛、発心・掻痒などの皮膚症状、めまいがある。
    <作用機序>
    ①炎症細胞から放出される活性酸素を除去し、炎症の進展および組織障害を抑制する
    ②ロイコトリエンB4(LTB4)生合成を抑制し、炎症性細胞の組織への浸潤を抑制する

    ステロイド製剤
     :プレドニンプレドニゾロン

     活動期の炎症を強力に抑える薬。寛解導入に使用され、寛解維持に使用することはない。
     必要な期間・必要な量だけ使用される。体重によるがおよそ30~40mg/日で開始することが多く、5~10mgずつ1~2週間の間隔で減量していく。
     ステロイド減量期に増悪や再燃が起こることがあり、ステロイド依存と呼ぶ。この場合、免疫調整剤や血球除去療法を追加や、他薬剤への変更が必要となる。減量中に下痢やけ血便が再燃する場合は早めの相談が必要である。
     副作用として、ステロイドを急に中止した場合に副腎不全が起こることがある。服用中は副腎でのステロイド産生が弱くなっており、中止によりすぐにはステロイド産生が追い付かず、低血糖や全身倦怠感、ショック症状などの症状が出てしまうことがある。

    ★免疫調整薬(チオプリン製剤)
     :メルカプトプリン(ロイケリン散)、
      アザチオプリン(イムラン)

     ステロイド製剤でコントロール不良の場合に使用される。ステロイド抵抗性、ステロイド依存性があるが、チオプリン製剤はステロイド依存性の場合に使用することが多い。ほかの薬剤に比べ薬効がゆっくりと発現するために寛解導入には用いにくい。一方で、寛解維持期ではステロイドの用量を減らすために必要であるとされる。
     最終的に上記薬剤はメルカプトプリンとして作用を示すので本質的には同じ薬と言える。
     日本人は欧米人に比べて少量で効果があるので、少量から(イムラン25~50mg、ロイケリン15~30mg)開始する。
     副作用として、骨髄抑制や肝障害、易感染性、嘔気等がある。また、日本の添付文書上では妊婦へは控えるようになっているが、海外の報告では催奇形性の発生率に服用有無で差異がなかったとの報告されており、現在では妊娠中も安心して服用できるという認識されている。希望する場合は主治医への相談をしてみるとよい。
    <作用機序>
    メルカプトプリン(6-MP)に変換され作用する。細胞内に取り込まれ、チオイノシン酸から6-TGNに変換されDNAに取り込まれて細胞障害作用を発揮すると考えられている。また、チオイノシン酸およびそのメチル化体はプリンヌクレオチド合成に必須な反応を阻害する。

    ★免疫抑制薬
     :シクロスポリン(サンディミュン注射液)、
      タクロリムス(プログラフ)

     上記チオプリン製剤と同様に免疫にかかわる薬剤。違う点は早期に薬効が発現するため、寛解導入などの炎症が強い時期に使用できる点である。ステロイド抵抗性・依存性症例に使用され、血中濃度のモニタリングが必要であるため血液検査を定期的に行う必要がある。いずれもチオプリン製剤による寛解維持療法への移行が一般的である
     副作用として、振戦、高血圧、高血糖電解質異常、腎障害、心毒性などがある。多くの副作用が血中濃度に関連して出現することが多いので血液検査が重要となってくる。
    <作用機序>
     シクロスポリン、タクロリムスはT細胞受容体などからのシグナル伝達を介した免疫亢進作用に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで、サイトカイン産生抑制およびそれに伴う免疫抑制作用を示す。

    ★抗TNF-α抗体製剤
     :インフリキシマブ注射剤(レミケード)、アダリムマブ皮下注(ヒュミラ)、ゴリムマブ皮下注(シンポニー)

     潰瘍性大腸炎ではTNF-αと呼ばれる炎症を引き起こす物質が体内で増えている。この作用を抑えるのが抗TNF-α抗体製剤である。
     炎症が強くステロイドでコントロールできない場合に使用する。また、免疫機能も抑制するので、投与前に結核などの感染症の確認が必要となる。
     それぞれ寛解導入期と維持期で用量用法が異なるので添付文書を確認すること。また、レミケードは静注、シンポニーは医師・看護師などの医療従事者が皮下注射、ヒュミラは条件を満たせば患者自身の自己皮下注射可能となる
     副作用については結核や敗血症などを含む重症感染症が報告されており、使用にあたっては十分な理解が必要である。
    <作用機序>
    各薬剤少しずつ作用は異なるが、共通して可溶性TNF-αの中和およびTNF-αの受容体結合の阻害によるものと考えられている。そのほか、膜結合型TNF-α発現細胞をCDC(補体依存性細胞傷害)やADCC(抗体依存性細胞媒介型細胞傷害)により障害する。

    ★抗α4β7インテグリン抗体製剤
     :ベドリズマブ注射剤(エンタイピオ)

     リンパ球(メモリーT細胞)上に発現する蛋白質であるα4β7インテグリンという物質の働きで、免疫にかかわるリンパ球が過剰に大腸組織に侵入し炎症を起こしていると考えられている。このα4β7インテグリンの作用を抑える。
     炎症が強くこれまでの薬で効果が得られない場合に用いる。免疫機能も抑えるので、投与前に結核などの感染症の確認が必要である。

    ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
     :トファシチニブ経口剤(ゼルヤンツ錠5mg)

     潰瘍性大腸炎の患者さんでは炎症を引き起こす原因のサイトカインが過剰に産生されており、JAK阻害剤は細胞内のヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素を阻害する。JAKはサイトカイン産生に関わっており、JAKが阻害されることで、サイトカインの産生を抑制し、リンパ球の活性化や増殖などを抑制する。
     注意点はほかの抗体製剤と同じである。
     寛解導入期は1回2錠(10mg)1日2回で8週間(不十分ならもう8週間)行い、維持期が1回1錠(5mg)1日2回で服用する。
     副作用として、結核や敗血症を含む感染症、悪性腫瘍や静脈塞栓症が報告されており、使用には十分な注意が必要である。

 

  • 血球成分除去療法:アダカラム(GMA) 
     重症例やステロイド治療で不十分な場合に使用される。
     国内で開発された治療法で、血液を腕の静脈から体外循環させて、カラムに血液を通過させることで特定の血液成分(主に血球成分)を除去し効果を発揮する。上記療法では顆粒球、単球を除去するアダカラム(GMA)がある。

  • 手術療法
    ①強力な内科的治療を行ったが効果が認められない場合
    ②大腸穿孔など穴が開いてしまった場合
    ③体調の出血がみとめられる場合
    ④大腸がんを併発している場合
    ⑤その他内科的治療では困難と判断される場合
    上記の場合、手術が適応される。
     潰瘍性大腸炎が大腸のみに限られる疾患であることから、大腸を全的する手術が基本となる。方法は、小腸で便をためる袋回腸嚢を作り、これと肛門(管)を縫い合わせることで、肛門を温存する手術が主流となっている。

 

さて、今回はなんとなく潰瘍性大腸炎のパンフレット等を見ていて、わかりやすかったのでまとめました。こつこつ備忘録としてやらないと忘れていきますね。

今日の治療薬と治療薬ハンドブックを使ってますが、毎年交互に購入してます。

 

今日の治療薬2020: 解説と便覧

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化学療法薬(細胞障害性抗がん薬)

最近出版されて、保険薬剤師の方にはお勧めです。

良かったので確認してみてくださいね。

 

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 化学療法薬の一覧

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化学療法薬一覧

細胞周期特異性薬と非特異性薬

  • 化学療法薬は特定周期に働く”細胞周期特異性薬”と全周期に働く”細胞周期非特異性薬”がある。
  • 一般的に前者は、細胞が薬物に暴露されている時間が長いほど効果が高く時間依存性)、後者は細胞が暴露される薬物の量が多いほど効果が高い用量依存性)。

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細胞周期特異性薬と細胞周期非特異性薬

+α 2種類の細胞死

  • 細胞死にはネクローシス(壊死)とアポトーシスがある。
  • 前者は熱傷や虚血などの物理・化学的要因により高度な細胞傷害を受けて起こる受動的な細胞死である。
  • 後者は、細胞分化・個体発生過程で形態形成やDNA損傷を受けた細胞を除去するための能動的な細胞死である。

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アポトーシスネクローシス

一般的な副作用

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副作用一覧
  • 上記のほかに、化学療法薬が血管外に漏出すると暴露部位の組織損傷をきたしことにも注意する。
  • 精巣。卵巣機能障害による不妊症、小児での成長障害や長期経過後の二次発がんも問題となる。

 

 

 

今回はここまで。
支持療法で使用する薬剤も確認しておきたい。そのためにも今日の治療薬は手元に常にある。。。

 

今日の治療薬2020: 解説と便覧

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