パパ薬剤師の備忘録

あくまで自己学習の備忘録です。参考程度に見て頂ければと思います。内容については保証できませんのでご了承ください。

めにゅ~

肝がん<基礎編>

 基礎知識

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肝臓の血流
  • 肝臓は、腹部右上に位置しほぼ右肋骨下に収まる人体で最も大きい臓器である。
  • 成人男子で体重の50分の1程度(約1~1.5kg)ある。
  • 胆汁生産・分泌 ②代謝・栄養素貯蓄 ③解毒 を行う臓器である。
  • 1/2切除されても再生し、元に戻ることができる。また、正常な幹細胞が1/4以上残存していれば、肝機能を余分に維持できる。
  • 上記のように再生機能・代謝能が高く、障害を受けても痛みを感じないため、末期になるまで異常に気付かないこともしばしばある(=沈黙の臓器)。

 

疫学

  • 死亡数(2016年)/罹患率(2013年) 28,528人/40,938人
  • 肝および肝内胆管がんをまとめて肝がんを呼ぶ(9割が肝細胞がん)。ただし、内科的治療は肝内胆管がは肝外胆管がん(胆道がん)と同様の治療を行う。
  • 罹患数と死亡数に大きな差がないことから、生存率が低いことがわかる。
  • 男性では45歳以降、女性では55歳以降に増加傾向がみられる。
  • 発生に最も重要なのは、肝炎ウイルス(HBV,HCV)で持続感染による慢性肝障害と再生に伴う突然変異の長期間の集積が影響していると考えられている。肝がんのうち約20%がHBV、約80%がHCVに起因している。
  • 感染以外での危険因子は、NAFLD/NASH、多量飲酒、喫煙、生活習慣病(肥満、糖尿病)、男性が挙げられる。
    NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease;非アルコール性脂肪性肝疾患
    NASH:non-alcoholic steato-hepatitis;非アルコール性脂肪肝炎

診断・診察

  • 肝細胞がんは高危険群の判別が容易であり、日本では広くサーベイランス(surveillance;調査・監視)が行われている。
  • B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、肝硬変のいずれかが存在すれば高危険群、なかでもB型肝硬変、C型肝硬変は超高危険群である。

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腹部超音波検査
 腹部に超音波を発信し、その反射(エコー)で画像化・解析する検査。

腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-2、AFP-L3分画)
 肝細胞腫瘍マーカーとして保険適応となっているのは、AFP(アルファフェトプロテイン)、PIVKA-2(protein induced by Vitamine K absence or antagonist-2)AFP-L3分画(AFPレクチン分画)である。

 AFPは健康成人の血液には含まれず、原発肝がんの患者の95%の血液に含まれる。基準値は20ng/ml以下(RIA法)とされている。もともとは妊娠早期の胎児にみられる血清蛋白の一種である。
PIVKA-2はビタミンKが欠乏した血液に出現する異常な血液凝固因子である。肝臓に異常が生じることで正常な血液凝固因子が産生できず、PIVKA-2を多く産生する。基準値は40mAU/ml以下(ELA法)で、腫瘍サイズが大きいほど(=異常が大きいため)陽性率も高まる。
 AFP-L3分画はAFPのがん化に伴う糖鎖の変化をレクチンとの結合を利用して検出するAFPの生物学的悪性度を示す。基準値は10%以下で、AFP20ng/ml以上でAFP-L3分画が15%以上の場合、肝細胞がんの存在の可能性が高い。

dynamic CT/MRI

 

分類

 UICC-TMN分類(腫瘍進行度)

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 Chilid-Pugh分類(肝予備能)

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