ステロイド外用薬
ステロイドランク表
さて、ステロイド外用剤のランク分けですが、自分の良く扱うもの中心にどうぞ。
ステロイド外用薬の特徴
- 外用剤に使用されるステロイドホルモンは、体内で生成されるステロイドホルモンを人工的に合成して力価を強めたものである。
- 症状別に使用できるように、5段階のランクに分けられている。
- ステロイド内服薬では、しばしば高血圧や高血糖、胃粘膜過敏、骨粗しょう症等のリスク(副作用)がありますが、これは消化管で吸収され全身に波及するためである。一方で、外用薬は皮膚から吸収されるので、血液中に入る量は微量であり、上記のような全身性の副作用が起きることはまずない。
- 一般に、局所(皮膚)での副作用が起きることが多い。
①産毛が生える
②塗った場所にニキビができやすくなる
③塗り続けると血管が目立つことがある
④塗り続けると皮膚が薄くなることがある
⑤皮膚が薄くなりすぎて皮膚線条ができることがある
※①~④は使用量を減らしていくことで回復するが⑤は回復しない。
ステロイド軟膏とタクロリムス軟膏
ステロイドは色素沈着を起こす?
掲題のように言われるが全くの誤解である。一般に表皮にはメラニン色素がたくさんあり、紫外線を防いでくれる。しかし、アトピーのように炎症が長引くと、表皮が壊れてメラニン色素が真皮に落ちてしまう。真皮に落ちたメラニン色素は体外になかなか排泄できず、体内の貪食細胞が処理するのを待つしかありません。
皮膚炎がひどいほど、引っかいたりして真皮にメラニン色素が落ちることになる。貪食細胞の処理には律速があるので、真皮内のメラニン色素がその場所に沈着してしまい、皮膚が黒く見えてしまう。
つまり、ステロイド外用剤の仕様と色素沈着は無関係で、アトピー皮膚炎の炎症が強く、たくさん引っかいたりすることが原因である。また、炎症が強いときは、炎症の赤みで黒い色素沈着がはっきり見えないことが多く、ステロイド外用薬を使用し症状が改善してきた際に黒さが目立ってくるので、いかにもステロイド外用薬で黒くなったように勘違いされるのである。
つまり、色素沈着を起こさないためには、炎症☞かゆみ☞掻破を起こさないように、皮膚炎をあらかじめコントロールしていくことが重要なのです。