パパ薬剤師の備忘録

あくまで自己学習の備忘録です。参考程度に見て頂ければと思います。内容については保証できませんのでご了承ください。

めにゅ~

悪性腫瘍総論④

毎日同じニュースで嫌になります・・・。

さて行きましょう。

 がんの要因 ~組み合わせでリスク上昇~

    •  遺伝要因と環境要因(放射線、ウイルス、喫煙、アスベスト、ピロリ菌、肥満・飲酒など)が組み合わさって発症する他因子疾患である。遺伝因子には、がん抑制遺伝子変異(遺伝性腫瘍症候群など)や発がん物質の代謝に関わる酵素の遺伝子多型があげられる。
    • 遺伝子が完全に一致しても同じがんになる確率は10~20%であり、環境要因の影響が大きいといえる。
    • 上記のほかに、内分泌因子が関わるがんがあり、ホルモン依存性腫瘍と呼ばれる
      乳がん、子宮体がん、前立腺がん等
    • 環境因子と関連するがんについてまとめる
代表例 発がん機序 関連するがん
  放射線(電離放射線、紫外線) DNA損傷

白血病乳がん、皮膚がん 

等多数

化学物質 喫煙 DNA損傷

肺がん、咽頭がん胃がん食道がん、 肝がん、膀胱がん 

等多数

アスベスト石綿
感染 肝炎ウイルス(HBV,HCV)

・ウイルスがん遺伝子発現

・ウイルス遺伝子の組み込み

肝がん
ヒトパピローマウイルス(HPV) 子宮頸がん
成人T細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1) 成人T細胞白血病/リンパ腫
エブスタイン・バーウイルス(EBV) バーキットリンパ腫、上咽頭がん
ピロリ菌(Helicobacter pylori) CagA蛋白発現 胃がん
  • 上記のほか、肥満(大腸がん、乳がん、子宮体がん等)、飲酒(食道がん、大腸がん、肝がん等)も発がんリスクを上昇させる。

がんの進展形式 ~直接浸潤と転移~

  •  がんは発生部位での増殖⇒浸潤⇒転移という過程を経て全身へ広がる。
  • 進展形式は隣接臓器への”直接浸潤”と離れた部位への”転移”に分けられる。

 

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直接浸潤 

周囲の正常臓器に浸潤し、種々の機能障害や症状を起こす
例)

  • 食道がん →気管浸潤(気管食道廔)
  • 肺がん →心外膜浸潤(心タンポナーデ
  • 膵がん →神経のう浸潤(腰背部痛)
  • 大腸がん →膀胱浸潤(膀胱廔)

転移

  • リンパ行性転移
    がん細胞がリンパ流にのってリンパ節に到達し、病巣を形成する
  • 血行性転移
    がん細胞が血流に乗ってほかの臓器へ到達し、病巣を形成する
  • 播種
    体腔へ散らばり、”種をまいたように”腹膜や胸膜などに多数の病巣を形成する

※転移能を有するかは良性腫瘍か悪性腫瘍かの最も基本的な違いである。また、遠隔転移があるということは、それだけで病期が進行していることを意味し、予後への影響が最も大きい。

血行性転移の好発部位

一般的に原発臓器や組織型で異なってくるが、多いのは「脳」「肺」「肝臓」「骨」「副腎」である。また骨転移が多いのは”乳がん”と”前立腺がん”である。

播種

  • 胸腔や腹腔などの体腔に接した臓器がんでは、進行に伴い播種をきたしうる
  • 胸腔・腹腔は胸膜・腹膜で囲まれた”空間”であり、基本的に隔てる構造がないのが特徴である。そのため、そこにがん細胞が侵入すると、種をまいたように多数の播種病巣が形成される。
  • 胸部臓器がん(肺がん
    胸膜に多数の播種病巣を形成する。しばしば”胸水”を伴うがん性胸膜炎を引き起こす。
  • 腹部臓器がん(胃がん卵巣がん、胆嚢がん、膵がん、大腸がんなど)
    腹膜に多数の播種病巣を形成する。しばしば”腹水”を伴うがん性腹膜炎を引き起こす。癒着などにより腸閉塞となることもある。
  • 病変は小さいことが多く、画像診断では判明せず手術時に判明することもある。
  • 胸水や腹水がある場合はそれらを採取して細胞診を行うことで播種の有無を診断する。

微小転移

  • 転移書記は少数のがんで病巣が形成されているため臨床的には診断できず、一定期間経過後に画像診断で転移巣としてとらえられる大きさになる。
  • がん診断時(あるいは治療開始時)には臨床的には明らかではない転移のことを”微小転移”という。
  • 微小転移は、原発巣の放射線や手術などの局所療法後の再発の主な原因と考えられており、補助薬物療法アジュバンド療法)の理論的背景となっている
  • 治療後にも臨床的に明らかではない大きさで残存している病変という意味で、微小残存病変(minimal residual disease :MRD)とも呼ばれる。